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2004年 08月 21日
20040821 「国営ではなぜいけないのですか」
 19日の夕方だった。「お客さんだよ」と、母が呼ぶので行くと、高校の同級生で諏訪郵便局の局長の寺田圭介氏だった。

 「郵政民営化に反対する陳情書を、議会に出してきた。採択されるようにお願いにきた。」という。日本共産党も「郵政民営化」には、反対の立場だ。

 寺田氏は、「国営ではなぜいけないのですか」という本を持ってきた。著者は、元全国特定郵便局長会会長で、現在上越商工会議所会頭である田中弘邦氏だ。
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 田中氏は、「はじめに--郵政民営化は『民』を切り捨てる過ちです!」で次のように述べている。
 「文化的かつ国民福祉の観点から社会基盤を支えてあまりある『郵政』が、はたして小泉総理の言う『民営化』でいいのかどうなのかの議論を、落ち着いて真剣に深めるべきです。」 まったくその通りだ。「はじめに民営化ありき」で世論をリードするマスコミの論調もまた大問題だ。
 「この間ずっと郵政改革論議の過程で『特定郵便局長』がサンドバッグのように叩かれ続けたことには、一OBとはいえ、その職に半生を奉じてきた者として座視できないところが残りました。」と、無念さを滲ませてもいる。
 「郵政民営化の論調・・・には市場原理による経済生産性(経済効率)の導入が錦の御旗として掲げられているようです。」「生産効率が低いという理由でもって、・・・地方町村や一般庶民の公共性を『切り捨て御免』とするのは、承服できません。」 まさにまさにその通りだ。
 「往々にして市場原理による経済生産性(経済効率)の追求は消費者の利害と反する方向に暴走しがちで、つまり市場経済は消費者保護の立場からは要監視の事項なのです。」 日本共産党は、「市場経済と計画経済の統一」を追求しているが、その際に「消費者保護の立場からの監視」は絶対に必要なことだと指摘されている。

 田中弘邦氏は、孔子の言葉を二つ引用している。
    過ちて 改むるに 憚ること勿れ   (あやまちて あらたむるに はばかることなかれ)
    過ちて 改めざる これを過ちという (あやまちを あらためざる これをあやまちという)

 最後に、「『経済の活性化』という名目でもって、・・・『最低限の公共性』を奪い、津々浦々に生活する国民を『国家のお荷物』として切り捨てるのが、はたして政治なのでしょうか?」と、疑問を呈している。
 田中氏と私とでは、置かれた立場も考え方も違うはずであるが、この著書に示された見解には共鳴するものがたくさんあるし、教えられたことも多い。

 上越市議会に出された陳情はおそらく採択され、上越市議会としての意見書が政府の関係省庁に送られるだろう。
 問題は、「田中弘邦氏などから出された陳情」だから採択するということではなく、この「国営ではなぜいけないのですか」に示された内容に共鳴して賛成するのかということだ。この書籍に述べられている思想は、今の市町村行政を真っ向から批判するものだし、それを推進している首長や議員を批判するものでもあるからだ。

 議論の行方を注視したい。

by TOSHIHIRO_SUGIMOT | 2004-08-21 23:49 | 市政の諸問題 | Comments(0)