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2018年 02月 18日
20180218 【書籍】我々はなぜ我々だけなのか
20180218 【書籍】我々はなぜ我々だけなのか_b0013099_22284895.jpg 表題だけからは何の本なのか判らない。副題の「「サピエンス以前」の目もくらむ人類史」が、この書籍のすべてを語っている。
 「国立科学博物館人類研究部の人類史研究グループ長、海部陽介さんにお話をうかがう機会を得て、現在の人類進化学の展開に心をうばわれた」著者(川端裕人)が、「人類学の現場で、研究者が何に着目してどんなふうに議論を展開していくのか、といったことから説き起こすようにつとめ」て書いたものである。

 「主要な化石の産地や現在進行中の発掘調査を見るとともに、標本を慎重に扱って詳細な研究をなしとげていくさまをかなり詳細に描いた。一般書でここまで詳しく書くのは、ある意味で冒険かもしれないが、必要な過程だと判断した」という著者の判断は正しかったし、それは成功しているといえる。実際、研究課程をこのように詳述した書籍は珍しいのではないかと思う。そしてその過程の中に私は、製造会社で製品開発に携わっていた時に経験したこととの共通性を見出した。
 本書は、人類史の最新の知見を扱っている。今でも日々刻刻新しい発見があるこの分野で、最新の情報を紹介しているが、その扱いは非常に慎重である。これにも共感した。

 「人類の歴史についての知識は、どんどん広がっているし、深まっている。それにともなって、人類学が見せてくれる「景色」もずいぶん変わってきている。これを見ないでおく手はない」
 「新たな発見が相次いており、人類学の常識自体が変わった」


 本書を読んで、そのことを痛感した。




by TOSHIHIRO_SUGIMOT | 2018-02-18 22:31 | ●マスコミ・本 | Comments(0)