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2013年 11月 08日
20131108 登山と秘密保護法を考える
 昨日7日から国会では、秘密保護法の審議が始まっています。この法案、「なにが秘密か それは"秘密"です」という代物です。安倍首相は、「あれも大丈夫。これも大丈夫。」と、答弁しているようですが、「法律が成立してしまえばしめたもの」ということでしょう。それは戦前の事態が証明しているといえます。
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 私の手元に一冊の本があります。西本武志氏の「十五年戦争下の登山――研究ノート」(2010年8月発行)という表題の本です。西本氏は、日本勤労者山岳連盟の理事長や会長を務めた方です。
 同書は以下のような構成になっています。

第一章 戦時下の登山の実相と敗戦後の登山
第二章 かくてアルピニズムは蹂躙された
第三章 戦火に散った岳人たち
第四章 十五年戦争と女性登山家の戦争責任
第五章 “山の発禁本”覚書
第六章 山岳書と国家機密法
第七章 登山愛好者も核廃絶を要求します

 この中の「第六章 山岳書と国家機密法」には9つの論考がありますが、いずれも秘密保護法が登山者に直接及ぼす影響を考える上で、とても参考になります。

 「軍部の介入ぶりを生々しく」では、「東京農業大学山岳部報告第二号」を取り上げ、同報告の「編集後記」を紹介しています。

 北千島の諸事情の発表に関しては頓に軍部方面の制限を受けてゐる現状である。本報告に於ける北千島の諸報文も総て遺憾なきを期する為、陸軍参謀本部の検閲を受け一部の削除を命ぜられたが国防上重要な位置を占める本土北端の地域のことであり、残念ながら止むを得ないことだと思ふ。

 そして次のようにコメントしています。

 「一部の削除」とは、北千島の山岳の総数、高度、周辺地域の水深、気象状況などで、本文中の関連個所は、すべて空白になっている。

 次の「2 消えた天気予報――そのナゾを追って」になると、「ここまでやるのか」と思えてきます。1938年5月28日から6月16日までの間、夕刊には「天気予報」が掲載されていたのに、朝刊の天気図と天気概況が消えているというものです。その原因が、九州上空に「怪飛行機」が現れ反戦ビラを投下していったことだというものです。こんなことまで「秘密」扱いしていたのですね。

 今、天気図や天気概況がマスコミからなくなってしまったら、登山にたいへんな支障が生じるのは明らかですね。やっぱり秘密保護法は廃案にしなければなりません。

by TOSHIHIRO_SUGIMOT | 2013-11-08 18:47 | 国の政治 | Comments(0)